井戸水の水質検査を受けたいけれど、どこに頼めばいいのか、費用はどれくらいかかるのか分からず迷っていませんか?
この記事では、井戸水の水質検査の依頼先や項目数による費用の違い、市販の検査キットとの違いまで、まとめて解説します。井戸水の基礎知識については「井戸水とは?仕組み・水道水との違いと安全に使うための基礎知識」もあわせてご覧ください。
井戸水の水質検査を受ける方法
保健所と民間検査機関、どちらに依頼する?
井戸水の水質検査は、お住まいの地域を管轄する保健所か、国土交通大臣及び環境大臣の登録を受けた民間の水質検査機関に依頼できます。
水道法第20条第3項で、この2つが検査を行える機関として規定されているためです(2024年4月の水道行政改編により、登録の主体は厚生労働大臣から国土交通大臣及び環境大臣に移管されています)。
保健所は自治体によって受付できる項目・日時・持ち込み方法が決まっており、比較的安価に依頼できることが多い一方、受付日時が月に数回程度と限られる自治体もあります。民間検査機関は費用がやや高めになる場合がありますが、予約の融通が利きやすく、採水容器の配送や結果報告のスピードなど、サービス面で選べる幅が広いのが特徴です。まずはお住まいの自治体の保健所に問い合わせ、対応できる項目や日程を確認するところから始めるとよいでしょう。
検査項目数による費用の違い(11項目/50項目)
井戸水の水質検査は、どこまでの項目数を調べるかによって費用が大きく変わります。
健康への影響が特に大きい項目に絞った簡易的な検査と、水道法の水質基準に準じたすべての項目を調べる網羅的な検査とでは、必要な分析機器や工程数がまったく異なるためです。

| 検査の種類 | 費用の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 一般飲料水検査(11項目程度) | 9,000円台〜12,000円程度 | 一般細菌・大腸菌など、糞便汚染等の危害度が高い項目に絞った検査(埼玉県狭山保健所9,130円、兵庫県宝塚健康福祉事務所11,600円の例で確認) |
| 50項目程度のフル検査 | 10万円超 | 水道法の水質基準に準じた網羅的な検査。高価な分析機器を複数使用するため高額になりやすい(日本地下水学会が目安として提示) |
| 細菌検査のみ | 数千円程度 | 一般細菌・大腸菌など、専用容器での採取が必要(日本地下水学会が目安として提示) |
11項目程度の検査は、一般細菌・大腸菌や硝酸態窒素など危害度の高い項目に絞った「最低限の確認」で、ヒ素・フッ素・有機溶剤などは含まれません。新たに井戸を使い始めるときは水道法に準じた検査が前提になるため、必要な項目を保健所に相談し、使い始めた後の定期検査は11項目程度を基本にして周辺環境に応じて項目を追加する、という進め方が現実的です。金額は自治体・検査機関によって差があるため、依頼前に見積もりを確認してください。
市販の水質検査キットは使える?
ホームセンターやインターネット通販で購入できる簡易水質検査キットは、あくまで目安を知るための補助的な手段と考えてください。
市販のパックテスト等では、pH・鉄分・硬度・COD(化学的酸素要求量)・亜硝酸態窒素といった項目を10分程度の短時間で手軽に測定できますが、飲用適否の判断に欠かせない一般細菌・大腸菌の検査には対応していない製品が多いからです。

普段の水質の変化を簡易的にチェックする用途には市販キットも役立ちますが、「この井戸水を飲んでよいか」を最終的に判断する場面では、保健所または検査機関による正式な検査を受けるようにしましょう。
水質検査を受ける際の注意点
給水開始前検査と定期検査(年1回)の違い
井戸水の水質検査には、新しく使い始める前の「給水開始前検査」と、使い始めた後も継続する「定期検査」の2つのタイミングがあります。
新設した井戸や、井戸のポンプ・配管を大きく改修した直後は、それまでと水質が変わっている可能性があるため、まず水道法に準じた検査で基本的な適合を確認する必要があるからです。使い始めた後も、周辺の土地利用の変化や経年劣化によって水質が変わりうるため、「飲用井戸等衛生対策要領」では1年以内ごとに1回の定期検査が想定されています。
「一度検査して問題がなかったから、もう検査は不要」と考えるのではなく、給水開始前検査と年1回程度の定期検査をセットで継続することが、井戸水と長く安全に付き合うための基本になります。
検査結果が基準を超えていたら
もし検査結果で健康を害するおそれのある汚染が判明した場合は、すぐに飲用を中止し、保健所等に相談してください。
汚染の原因は井戸ごとに異なり(近隣の浄化槽・農地・工場等)、自己判断で対応すると原因の特定や再発防止が難しいためです。
保健所等は汚染原因の調査を行い、有機溶剤等による汚染であれば環境部局とも連携します。改善が難しい場合は上水道への切り替えを勧められることもあります。また、汚染の内容によっては浄水器やろ過装置の設置で対応できるケースもあるため、まずは検査結果をもとに専門家に相談することが大切です。
よくある質問
井戸水の水質検査はどのくらいの頻度で受ければいいですか?
「飲用井戸等衛生対策要領」では、一般飲用井戸(自己居住専用は除く)・業務用飲用井戸について、1年以内ごとに1回の定期検査が想定されています。個人が自宅のみで使う井戸であっても、少なくとも年1回程度は検査を受けることをおすすめします。
水質検査の結果はどれくらいで届きますか?
検査項目数や依頼先によって異なりますが、細菌検査を含む一般的な検査であれば1〜2週間程度、50項目程度のフル検査ではより長い納期がかかる場合があります。急ぎの場合は、依頼前に検査機関へ納期を確認してください。
アパートや賃貸物件の井戸水も検査できますか?
共同住宅等の居住者向けに給水する施設は「一般飲用井戸」として、水道法や建築物衛生法の適用を受けないものであれば「飲用井戸等衛生対策要領」の対象になります。管理は建物の設置者(オーナーや管理会社)が行うのが基本のため、入居者の方はまず管理会社等に水質検査の実施状況を確認するとよいでしょう。
まとめ:まずは保健所へ相談し、必要な項目を確認してから検査を
この記事では、井戸水の水質検査の依頼先や費用、市販キットとの違い、検査を受ける際の注意点を解説しました。
まずは保健所に相談し、新たに使い始める場合は水道法に準じた検査を、使い始めた後の定期検査は危害度の高い項目に絞った検査(9,000円台〜1万円程度が目安)を基本にするのが現実的です。給水開始前検査と年1回程度の定期検査を継続し、市販キットはあくまで日常的なチェックの補助として活用するとよいでしょう。

