「浄水器の逆浸透膜(RO膜)」という言葉を見かけて、ふつうの浄水器のフィルターと何が違うのか、どんな仕組みで水をきれいにしているのか気になっていませんか?
逆浸透膜は、水道の浄水器だけの技術ではありません。海水から飲み水を作る施設や、半導体工場・病院で使う純水づくりにも使われている、水処理の中でもかなり「とがった」技術です。
この記事では、逆浸透膜とは何かを、沖縄県企業局や国土交通省、日本化学工業協会、消費者庁などの公開資料を調べて分かったことをもとに、浸透圧の原理から社会での用途、似た言葉(RO水・純水・精製水)との違い、家庭用浄水器として見るときのポイントまで、初心者向けに整理します。
浄水器全般のろ過の仕組み(活性炭・中空糸膜)は浄水器の仕組みとは?ろ過の原理から原水・浄水の切り替え、整水器との違いまで解説で、子育て世帯での使い方や安全性の考え方は浄水器RO水は子育て世代に本当に安全?メリット・デメリットと最適な選び方を徹底解説で扱っているので、あわせてご覧ください。
この記事のポイント
浄水器の逆浸透膜(RO膜)とは?浸透と逆浸透の仕組み
逆浸透膜は「水は通すが、溶けているものは通さない」膜
逆浸透膜(RO膜、Reverse Osmosis membrane)は、水の分子は通すものの、水に溶けている塩分などの物質はほとんど通さない「半透膜(はんとうまく)」の一種です。
日本化学工業協会の解説では、逆浸透膜は「孔径1nm以下のたくさんの孔があいた膜で、水は通しますが、塩などの不純物を通さない性質がある」と説明されています。1nm(ナノメートル)は1mmの100万分の1、1μm(マイクロメートル)の1000分の1という大きさです。
同じ解説では、東レの測定で膜の孔径が0.5〜0.7nmと確認されたことや、膜の素材が「架橋芳香族ポリアミド複合膜」という合成高分子であることも紹介されています。
一般的な家庭用浄水器に使われる中空糸膜は、カビや雑菌、鉄やアルミニウムの粒子を網目で取り除きますが、メーカーのクリンスイが説明しているように「カルシウムやマグネシウムは網目を通るので、ミネラル分は残っている」フィルターです。水に溶けたイオンの大きさまで止めるかどうかが、逆浸透膜と他のろ材との決定的な違いです。
浸透圧とは?真水と海水を膜で仕切ると起こること
逆浸透を理解するには、まず「浸透」と「浸透圧」を知る必要があります。沖縄県企業局が海水淡水化施設の解説で使っている説明が分かりやすいので、それに沿って整理します。
真水と海水を半透膜で仕切った容器に入れると、両側の塩分濃度を均一にしようとして、真水が半透膜を通って海水側へ移動していきます。この現象が「浸透」です。
真水が移動した分だけ海水側の水面が上がり、ある高さで止まります。このときの両側の水面の差を「浸透圧」と呼び、同資料によると海水の浸透圧は約2.5MPa(メガパスカル)です。家庭の水道の水圧は一般に数百kPa程度なので、海水の浸透圧はその数倍から十倍前後という大きな圧力になります。
浸透そのものは、野菜に塩をふると水が出てくる現象や、植物の根が水を吸う働きにも関わる、身近な自然現象です。
逆浸透:浸透圧より強い圧力をかけると、水だけが押し出される
「逆浸透」は、この浸透を反対向きに起こす現象です。
沖縄県企業局の資料では、「海水側に浸透圧より大きい圧力を加えると、海水側から半透膜を通して、真水が押出されてきます。この現象を『逆浸透』と呼びます」と説明されています。塩分は膜を通れないので海水側に残り、膜の反対側には真水だけが出てくる、という仕組みです。
つまり逆浸透膜は、膜そのものが特別な力で不純物を「吸い取る」わけではなく、「水しか通れない細かさの膜」に「浸透圧を超える圧力」をかけることで、水だけを分離しています。圧力をかけるためのポンプが必要になるのは、この原理から来ています。

膜の構造:薄い層を重ねた複合膜を「のり巻き」状に巻いている
逆浸透膜は、1枚の均一なシートではなく、役割の違う層を重ねた複合膜です。
沖縄県企業局の資料によると、逆浸透膜は「基材の上に支持材、半透膜の各層を重ねて製膜したポリアミド系の合成複合膜」で、断面は実際に分離を担う緻密層が約0.2μm、それを支える支持層が約60μm、基材が約150μmとされています。分離を担う層は、髪の毛の太さの数百分の一しかない薄さです。
この膜は「99%以上の高い塩分除去率を有しており、海水から一回の脱塩で真水を取り出すことができます」と同資料は説明しています。
装置に組み込むときは、膜・流路材・スペーサーを組み合わせて「のり巻状」に巻いたスパイラル型のエレメントにし、筒状の容器に入れて使います。限られた体積に大きな膜面積を収めるための工夫です。
活性炭・中空糸膜など、他のろ過方式との違い
浄水器のろ材にはいくつか種類があり、消費者庁の浄水器の表示ルールでは「活性炭、織布、不織布、多孔質平膜、中空糸膜、逆浸透膜」などが挙げられています。それぞれ得意なことが違います。
| ろ材 | 主な働き | 水に溶けたミネラル(イオン) | 圧力・排水 |
|---|---|---|---|
| 活性炭 | 残留塩素やにおいの成分を表面に吸着する | 基本的にそのまま通す | 水道の水圧でそのまま使える |
| 中空糸膜 | 細かい網目で濁り・サビ・微粒子・雑菌などをこし取る | 網目より小さいので通す(メーカー説明) | 水道の水圧でそのまま使える |
| 逆浸透膜 | 水分子だけを通し、溶けた塩分・イオンまで分離する | 大部分を止める(ため、ミネラルも減る) | 浸透圧を超える圧力が必要。通れなかった成分を含む水(濃縮水)が排水として出る |
このように、逆浸透膜は「こし取る」のではなく「水だけを分けて取り出す」方式なので、他のろ材と並べると、できることも、必要な条件(圧力・排水)も大きく違います。
逆浸透膜はどこで使われている?海水淡水化から身近な水まで
海水から水道水を作る「海水淡水化」
逆浸透膜の代表的な用途は、海水から塩分を取り除いて飲み水を作る海水淡水化です。日本でも実際に水道水源として使われています。
国土交通省の資料によると、福岡地区水道企業団の「海の中道奈多海水淡水化センター」(愛称:まみずピア、福岡市東区)は、淡水化方式が逆浸透方式で、淡水生産水量は1日最大5万立方メートル、2005年(平成17年)6月に供用を開始しました。大きな河川が少ない福岡都市圏の水道用水を支える施設です。
沖縄県企業局も、北谷(ちゃたん)浄水場の敷地内に逆浸透法の海水淡水化施設を持っており、先ほど紹介した「浸透圧のはなし」はこの施設の解説資料に書かれているものです。
海外では、日本化学工業協会の解説にあるように、中東など淡水資源の乏しい地域で大規模な海水淡水化プラントに逆浸透膜が使われています。
半導体の超純水、医薬品の精製水、透析用の水
「不純物をできるだけ取り除いた水」が必要な産業や医療の現場でも、逆浸透膜は水づくりの一段階として使われています。
- 半導体の超純水:日本化学工業協会の解説では、東レの逆浸透膜の用途が「半導体工業向けの超純水」から始まり、海水淡水化や下水再利用へ広がったと紹介されています。微細な回路を洗う水には、ごくわずかな不純物も残せないためです。
- 医薬品の「精製水」:日本薬局方では、精製水は「イオン交換,蒸留,逆浸透又は限外ろ過などを単独あるいは組み合わせたシステムにより,『常水』より製したもの」と定義されています。ドラッグストアで売られている精製水も、この規格に沿った医薬品です。
- 透析用の水:日本透析医学会の「透析液水質基準」には、透析用水を作る装置(前処理ユニット・ROユニット・RO水タンクなど)に関する管理基準の章が設けられています。
いずれも、逆浸透膜だけで完結するのではなく、前処理(砂ろ過や活性炭など)やイオン交換・殺菌といった他の工程と組み合わせて、目的の水質に仕上げています。
宅配水のRO水、スーパーの給水機、観賞魚、家庭用浄水器
生活に近いところでも、逆浸透膜は意外と使われています。
- ウォーターサーバーの「RO水」:たとえばクリクラは、公式サイトで「RO膜(逆浸透膜)という特殊なフィルターを通して、水中の不純物やウイルス、重金属などを取り除いた水」に、味とミネラルバランスを整えるためミネラルを配合したものをRO水として提供していると説明しています。
- スーパーの給水機:イオンの「おいしい水」は、WAON公式サイトで「逆浸透膜(RO膜)によって不純物を除去した」純粋水と案内されていました(2020年10月に自動販売機の稼働を中止した店舗があり、現在の実施状況は店舗によって異なります)。
- 観賞魚の飼育水:水槽の水質を細かく調整したい用途で、観賞魚用の逆浸透膜浄水器が使われています。例はマーフィード浄水器で実現する理想の水質!製品選びと水質改善のメリットで紹介しています。
- 家庭用の浄水器:シンク下に設置するアンダーシンク型や、水を注いで使う卓上型のRO浄水器が国内外のメーカーから販売されています。家庭用として見るときのポイントは後半で整理します。

逆浸透膜の歴史:1960年に実用的な膜が生まれた
逆浸透の原理自体は古くから知られていましたが、実用になる膜ができたのは1960年のことです。
世界大百科事典の「逆浸透法」の項では、この原理は1956年ごろにフロリダ大学のリードによって提案され、1960年にカリフォルニア大学のロブとスリラーヤンが「優れた半透性をもつアセチルセルロース膜」を開発して実用化に至った、と説明されています。薄い分離層と、それを支える厚い多孔質の層を一体にした「非対称膜」という構造が、十分な量の水を通しながら塩分を止めることを可能にしました。
その後、素材は現在主流のポリアミド系複合膜へと進み、日本化学工業協会の解説にあるように、日本の化学メーカーも膜の開発を続けて、海水淡水化や下水再利用の造水コスト削減につなげています。
RO水・純水・精製水・蒸留水・イオン交換水の違い
「作り方の名前」と「規格の名前」を分けて考える
逆浸透膜を調べていると、RO水・純水・精製水・蒸留水・イオン交換水といった似た言葉が出てきて混乱しがちです。「どうやって作った水か(製法)」と「どの規格に合った水か」を分けると整理できます。
| 言葉 | 何を指すか | 法令・規格上の位置づけ |
|---|---|---|
| 純水 | 不純物をできるだけ取り除いた水の一般的な呼び名 | 法令上の統一した定義はない(用途ごとの規格はある) |
| RO水 | 逆浸透膜でろ過した水(製法の呼び名) | 定義はない。宅配水では後からミネラルを加えた製品もある |
| 蒸留水 | 水を沸かして蒸気を集め、冷やして戻した水(製法の呼び名) | 定義はない |
| イオン交換水 | イオン交換樹脂で水中のイオンを取り除いた水(製法の呼び名) | 定義はない |
| 精製水 | 日本薬局方の規格に適合した水。製法はイオン交換・蒸留・逆浸透・限外ろ過など | 医薬品(市販品は第3類医薬品)。飲用は効能・効果に含まれない |
つまり「RO水」は作り方を表す言葉であって、できあがった水の純度を保証する言葉ではありません。同じ逆浸透膜を使っていても、前処理や後処理、ミネラルの添加の有無によって、仕上がる水は変わります。
水道水・天然水・ミネラルウォーターなど、水の種類の全体像はミネラルウォーターとは?水道水・天然水との違い、硬水軟水の選び方でも整理しています。
家庭用浄水器として逆浸透膜を見るときのポイント
家庭用RO浄水器の基本構成
家庭用の逆浸透膜浄水器も、産業用と同じく「逆浸透膜1枚」ではなく、複数の工程を組み合わせた装置です。構成は製品によって違いますが、おおむね次の要素で説明されています。
- 前処理フィルター:沈殿物や残留塩素をあらかじめ取り除き、逆浸透膜を傷めたり詰まらせたりしないようにする
- 逆浸透膜エレメント:水だけを通し、通れなかった成分を含む水(濃縮水)は排水として捨てる
- 後処理フィルター:味を整える活性炭や、ミネラルを加える製品もある
- 圧力の確保:水道の水圧だけでは不足する場合に電動ポンプで加圧する製品、ろ過した水をためておくタンクを持つ製品、タンクを持たずその場でろ過するタンクレス(ダイレクトフロー)の製品がある
設置の形はシンク下に本体を置くアンダーシンク型と、水を注いで使う卓上型(ウォーターサーバー型)に大別されます。排水を流す配管や電源が必要かどうかは製品ごとに異なるため、取扱説明書や公式サイトの設置条件で確認してください。
表示で確認できること:ろ材の種類・回収率・性能表示
日本で販売される家庭用浄水器には、家庭用品品質表示法にもとづく表示があり、逆浸透膜を使う製品には他の浄水器にない表示項目があります。
消費者庁の「浄水器」の表示ルールによると、表示事項には「ろ材の種類」(活性炭、中空糸膜、逆浸透膜など)、JIS S 3201の試験方法による「ろ過流量」、除去対象物質ごとの「浄水能力」(除去率80%を保てる総ろ過水量)などがあり、さらに「回収率」が「逆浸透膜のものに限る」項目としてパーセントで表示されます。
回収率は、浄水器に送り込んだ水のうち、どれだけが浄水として取り出せるかの割合です。逆浸透膜は構造上、通れなかった成分を含む水を排水として捨てるので、この表示があることで「どのくらい排水が出るか」の目安が分かります。排水の割合は製品によって幅があるため、具体的な数値は必ず製品の表示で確認してください。
米国では家庭用逆浸透システムの規格として NSF/ANSI 58 があり、2019年にはPFOA・PFOSの低減性能を認証するための試験要件が追加されました。日本の水道水についても、環境省の水質基準で2026年4月1日からPFOS及びPFOAが基準項目(0.00005mg/L以下)に加わっています。製品の「PFAS対応」といった表示は、どの規格・試験にもとづくものかをあわせて見るとよいでしょう。水質基準の全体は水道水の水質基準とは?52項目をわかりやすく解説で整理しています。
知っておきたい逆浸透膜浄水器の性質と限界
仕組みを知ると、逆浸透膜浄水器の「できること」と「前提」もはっきりします。調べた範囲で押さえておきたいのは次の点です。
- 原水は飲める水が前提:消費者庁の表示ルールは「河川水・井戸水を原水とするもの」を対象外としており、米国のNSF/ANSI 58も、微生物学的に安全で水質の分かっている飲料水から特定の物質を低減する装置として位置づけています。家庭用の逆浸透膜浄水器は、水道水のようにすでに飲める水を原水にする道具で、井戸水や自然水を飲めるようにする装置ではありません。井戸水については井戸水とは?仕組み・水道水との違いと安全に使うための基礎知識をご覧ください。
- ミネラルも一緒に減る:溶けたイオンを分離する原理なので、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルも大部分が取り除かれ、味はやわらかく淡白になります。後からミネラルを加える製品があるのはこのためです。
- 排水が出る・ろ過に時間がかかる:圧力をかけて少しずつ水を分けるため、同じ時間に取り出せる水の量は蛇口直結型などより少なく、濃縮水が排水として出ます。
- 膜の交換と前処理が性能を左右する:前処理フィルターが詰まったり、膜が劣化したりすると性能が落ちます。交換時期は製品の表示に従ってください。
浄水器が実際に働いているかを家庭で確かめる方法(RO浄水器の場合はTDSメーターが目安になること)は浄水器の効果を検証する方法とは?残留塩素・TDSでの確かめ方と注意点を解説で扱っています。
健康や赤ちゃんのミルクに関する情報は、公的機関の案内を確認する
逆浸透膜の水はミネラルが少ないことから、「体への影響は?」「赤ちゃんのミルクに使える?」と気になる方もいると思います。当サイトの運営者は医療の専門家ではないため、この記事ではこうした点について評価はせず、調べる中で見つけた公的機関の情報を紹介するにとどめます。
- 乳児用調製粉乳(粉ミルク)の調乳について:厚生労働省は、FAO/WHOが作成した「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」の仮訳を公開しています。そこでは、使用する水を「念のため沸騰させた」うえで70℃以上の湯で調乳すること、調乳後2時間以内に使わなかったミルクは捨てることなどが示されています。使う水の種類については、水道水、水質基準に適合する井戸水、調製粉乳用として推奨される容器入りの水が挙げられています。
- ミネラルの少ない水の長期摂取について:WHO(世界保健機関)は2005年に「Nutrients in drinking water」という報告書を公開しており、海水淡水化などでミネラルを取り除いた水を長期間飲み続けることの健康影響を検討した章が含まれています。
これらは「このような公的な情報があります」という紹介であり、個々のご家庭での判断は、粉ミルクや浄水器のメーカーの案内、医師・保健師の指導に従ってください。子育て世帯での考え方は浄水器RO水は子育て世代に本当に安全?メリット・デメリットと最適な選び方を徹底解説でも整理しています。
よくある質問
逆浸透膜とナノろ過膜(NF膜)・限外ろ過膜(UF膜)は何が違いますか?
いずれも圧力をかけて水を膜に通す「膜ろ過」ですが、分離できる大きさが違います。限外ろ過膜は高分子やコロイド、微生物などを分離し、ナノろ過膜は一部のイオンを、逆浸透膜はさらに小さな塩分のイオンまで分離します。孔が細かくなるほど必要な圧力は大きくなります。
逆浸透膜はなぜ圧力(ポンプ)が必要なのですか?
濃い水と薄い水を膜で仕切ると、自然には水が濃い側へ移動する「浸透」が起こるからです。その流れに逆らって水だけを取り出すには、浸透圧より大きな圧力をかける必要があります。海水では浸透圧が約2.5MPaと大きいため高圧ポンプが使われ、家庭用でも水圧が足りない場合は加圧ポンプを内蔵した製品があります。
RO水と純水は同じものですか?
RO水は「逆浸透膜でろ過した水」という作り方を表す言葉で、純水は「不純物をできるだけ取り除いた水」という一般的な呼び名です。RO水は純水に近い水になりますが、宅配水のようにミネラルを加え直した製品もあるので、同じものとは言い切れません。医薬品の「精製水」だけは日本薬局方の規格名です。
逆浸透膜浄水器を使うと排水が出るのはなぜですか?
膜を通れなかった塩分などの成分が、膜の手前側の水に濃縮されて残るためです。この水をそのまま装置内にためておくと膜が詰まるので、濃縮水として排水します。家庭用品品質表示法では、逆浸透膜の浄水器に限って、どのくらいが浄水になるかを示す「回収率」の表示が求められています。
逆浸透膜で井戸水や川の水を飲めるようにできますか?
家庭用の浄水器として販売されている逆浸透膜浄水器は、消費者庁の表示ルール上も「河川水・井戸水を原水とするもの」が対象外で、水道水など飲める水を原水にする前提の製品です。井戸水を飲用に使う場合は、まず水質検査を受け、保健所などの指導に従ってください。
海水淡水化の水は、日本でも水道水として飲まれているのですか?
はい。国土交通省の資料によると、福岡地区水道企業団の海の中道奈多海水淡水化センターは逆浸透方式で1日最大5万立方メートルの淡水を作り、2005年6月から福岡都市圏の水道用水として供用されています。沖縄県企業局も北谷浄水場内に逆浸透法の海水淡水化施設を持っています。
まとめ:逆浸透膜は「水だけを通す膜に圧力をかける」技術
この記事では、浄水器の逆浸透膜(RO膜)とは何かを、公的機関や業界団体の資料をもとに整理しました。
- 逆浸透膜は孔径1nm以下の半透膜で、水は通すが溶けた塩分などはほとんど通さない
- 濃い水へ水が移る「浸透」に逆らい、浸透圧(海水で約2.5MPa)より強い圧力で水だけを押し出すのが「逆浸透」
- 海水淡水化(福岡で1日最大5万立方メートル)、超純水、精製水、透析用水、宅配水、家庭用浄水器まで用途が広い
- RO水は作り方の名前、精製水は医薬品の規格名、純水は一般的な呼び名と区別する
- 家庭用では、飲める水を原水にする前提であること、ミネラルも減ること、排水が出ること、逆浸透膜に限って「回収率」の表示があることを押さえる
仕組みが分かると、「RO水」「純水」「PFAS対応」といった言葉を、製品の表示や規格と結びつけて読めるようになります。実際の製品選びは浄水器のおすすめランキング|タイプ・ブランド別の選び方を徹底比較から、タイプ別の記事をたどってみてください。
参考にした主な一次情報
- 沖縄県企業局「事業概要(令和元年度)」浸透圧のはなし・逆浸透膜の構造(PDF)
- 日本化学工業協会「世界の水不足を救う逆浸透膜(RO膜)の仕組み」
- 国土交通省 福岡地域の水資源に関する資料「海水淡水化」(PDF)
- 消費者庁 家庭用品品質表示法「浄水器」
- 環境省「水質基準項目と基準値(52項目)」
- 国立医薬品食品衛生研究所 日本薬局方名称データベース「精製水」
- 日本透析医学会「2016年版 透析液水質基準」(PDF)
- 厚生労働省「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドラインについて」
- WHO “Nutrients in drinking water”(2005)
- クリンスイ「教えて水博士!#1 クリンスイの『中空糸膜』は何を除去できるの?」
- クリクラ「RO水のウォーターサーバーとは?」
- コトバンク「逆浸透法」(世界大百科事典・日本大百科全書)

