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水道水の水質基準とは?52項目をわかりやすく解説|「51項目」から変わった理由も

水道水の水質基準52項目を紹介するイラスト お水の知識
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「水質基準とは何か」「51項目や52項目と聞くけれど、具体的に何を検査しているのか」を知りたくて検索しているのではないでしょうか。

この記事では、水道水の水質基準の法的な根拠、項目の分類、主な検査項目の内容、そして「51項目」から「52項目」に変わった理由まで、まとめて解説します。

浄水器・ウォーターサーバー・ミネラルウォーターとの安全性の違いについては、飲料水の水質基準とは?最新の公的基準から紐解く水道水の安全性と選び方で解説しているので、選び方まで知りたい方はあわせてご覧ください。

水質基準とは何か

水質基準とは、水道水が満たすべき安全性・衛生性と、生活利用上の支障を防ぐための基準を法律で定めたもので、「水質基準に関する省令」(平成15年厚生労働省令第101号)によって具体的な項目・基準値が定められています。

水道法第4条において、水道により供給される水は「病原生物に汚染されていないこと」「シアン・水銀等の有害物質を含まないこと」など、満たすべき水質の要件が定められており、この省令はその具体的な項目・数値を示すものだからです。

52項目のうち、健康への影響を防ぐことを目的とした項目が32項目、味・臭気・色度・濁度など水道水としての利用上の支障を防ぐための項目が20項目です。健康に関する項目のうち化学物質に関するものは、原則として生涯にわたり毎日摂取し続けても健康影響が生じない水準を踏まえて基準値が設定されています(一般細菌・大腸菌のような微生物項目は、検出の有無という別の考え方で管理されています)。利用上の支障を防ぐための項目は、主に使いやすさ・快適さの観点から基準が設けられています。なお、2024年4月の水道行政改編により、水質基準の策定は環境省、水道整備・管理行政(インフラ面)は国土交通省が所管する体制になりました。

法的な「水質基準」と、それを補完する2つの分類

「水質基準」とひとくくりに呼ばれることが多いですが、法律上の水質基準にあたるのは「水質基準項目」だけで、これを補完する形で「水質管理目標設定項目」「要検討項目」という2つの分類があります。

水質基準項目・水質管理目標設定項目・要検討項目の3段階のピラミッド図
分類項目数法的拘束力内容
水質基準項目52項目法的に義務水道法第4条に基づき水道水が適合しなければならない、水道事業者に検査・遵守が義務付けられた基準
水質管理目標設定項目26項目法的拘束力なし水道水中で検出される可能性があるなど、水道事業者等が水質管理に活用するよう求められる目標
要検討項目46項目法的拘束力なし毒性評価が定まらないことや浄水中の存在量が不明などの理由で、上記2分類に分類できない項目

「水質基準」という言葉で検索した際に出てくる項目数は、このどの分類を指しているかによって変わります。一般に「水質基準〇項目」という場合は、法的拘束力のある「水質基準項目」を指しています。

「51項目」ではなく「52項目」になった理由

「水質基準 51項目」で検索すると出てくる情報もありますが、2026年9月時点の最新の水質基準項目数は52項目です。これは、有機フッ素化合物であるPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)・PFOA(ペルフルオロオクタン酸)が新たに水質基準項目に追加されたためです。

2026年4月の改正でPFOS・PFOAが追加され水質基準項目が51項目から52項目に変わったことを示す図

環境省は2025年6月に「水質基準に関する省令の一部を改正する省令」及び「水道法施行規則の一部を改正する省令」を公布し、2026年4月1日に施行しました。PFOS及びPFOAは合算値として基準値0.00005mg/L(50ng/L)以下と定められています。それまで51項目だった水質基準項目が、この改正によって52項目になりました。

「51項目」という数字は、この改正前の情報がインターネット上に残っているために今も検索されていると考えられます。記事や資料を参照する際は、いつ時点の項目数かを確認するとよいでしょう。

主な水質基準項目をカテゴリ別に解説

52の水質基準項目は、大きく「健康に関する項目(32項目)」と「水道水が有すべき性状に関する項目(20項目)」の2つに分類されます。代表的な項目の基準値は以下の通りです。

代表的な水質基準項目と基準値
分類項目基準値
健康に関する項目一般細菌1mlの検水で形成される集落数が100以下
健康に関する項目大腸菌検出されないこと
健康に関する項目硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素10mg/L以下
健康に関する項目鉛及びその化合物鉛の量に関して0.01mg/L以下
健康に関する項目PFOS及びPFOA(合算値)0.00005mg/L(50ng/L)以下
水道水が有すべき性状に関する項目塩化物イオン200mg/L以下
水道水が有すべき性状に関する項目pH値5.8以上8.6以下
水道水が有すべき性状に関する項目味異常でないこと
水道水が有すべき性状に関する項目臭気異常でないこと
水道水が有すべき性状に関する項目色度5度以下
水道水が有すべき性状に関する項目濁度2度以下

大腸菌は、糞便による汚染や病原微生物による汚染の可能性を示す指標菌で、「検出されないこと」という基準が設けられています。多くの大腸菌自体に病原性があるわけではありませんが、検出された場合は水系感染症のリスクを否定できないため、速やかな原因究明と対策が必要になります。味・臭気のように「異常でないこと」という数値によらない基準もあるなかで、大腸菌は定められた検査法で検出されないことが求められる、数値の上限値ではないタイプの基準になっている点は覚えておくとよいでしょう。

残留塩素の基準は「下限」と「目標上限」がある

カルキ臭の原因となる残留塩素については、少し特殊な基準の設け方がされています。

水道法施行規則により、給水栓において遊離残留塩素0.1mg/L以上、または結合残留塩素0.4mg/L以上を保持することが義務付けられています(病原生物に著しく汚染されるおそれがある場合等は、それぞれ0.2mg/L以上・1.5mg/L以上に引き上げられます)。これは病原微生物による汚染を防ぐための下限値で、法的な義務です。一方、水質管理目標設定項目では、おいしさや消毒副生成物の抑制など水質管理上の観点から、残留塩素の目標値を1mg/L以下と定めていますが、こちらは法的な上限規制ではなく、あくまで目標値です。

つまり、残留塩素は「消毒効果を保つために一定量以上は必要だが、多すぎるとカルキ臭が気になる」という性質があるため、下限は義務、上限は目標という2階建ての基準になっています。

水質基準はどうやって決まる・改正されるのか

水質基準は一度決められたら固定というわけではなく、最新の科学的知見に応じて継続的に見直されています。

この見直しを担っているのが「水質基準逐次改正検討会」です。平成15年の厚生科学審議会答申で、水道水質基準は最新の科学的知見に従い常に見直しを行うべきとされ、専門家による常設の検討会を設置することが提言されたことを踏まえて設けられました。2024年の水道行政改編以降は環境省が所管しており、PFOS・PFOAの基準追加も、この検討会での専門的な検討を経て実現したものです。

基準を満たしているかどうかを確認する方法(検査方法の告示)

「52項目の基準値」を定めただけでは、実際に基準を満たしているかを客観的に判定できません。そこで、各項目をどのような分析方法で検査するかも、別途国が定めています。

これが「水質基準に関する省令の規定に基づき環境大臣が定める方法」(平成15年厚生労働省告示第261号、2024年の所管移管に伴い現在は環境大臣が定める形に整理)です。この告示では、水質基準に関する省令が定める52項目それぞれについて、標準的な検査方法が具体的に定められており、全国どの検査機関で調べても同じ基準で判定できるようにする役割を担っています。分析技術の進歩に応じて、この検査方法自体も随時改正されています。

「水質検査11項目」と水道法上の定期検査は別の枠組み

水質基準を調べていると「水質検査11項目」という言葉を目にすることがありますが、水道法第20条に基づく水道事業者の定期水質検査とは、必ずしも同じ意味ではありません。

水道法に基づく定期水質検査は、原則として水質基準項目(52項目)全体を対象に実施されます。水道法施行規則第15条では、このうち一般細菌・大腸菌の2項目は毎月の検査を省略できず、これに有機物(TOC)・pH値・味・臭気・色度・濁度など7項目を加えた合計9項目は、原則として毎月1回以上の検査が必要です(このほか、色・濁り・消毒の残留効果の3項目は毎日検査が必要です)。継続的に自動計測・記録している場合に限り、一般細菌・大腸菌以外の7項目は3か月に1回まで頻度を下げられますが、一般細菌・大腸菌の2項目は頻度を下げることも省略することもできません。それ以外の項目は、水源の状況や過去の検査結果などの条件を満たせば、検査頻度をさらに下げたり省略したりできる場合があります。

「11項目」という表現は、貯水槽水道や建築物衛生法の対象となる特定建築物の水質検査など、水道法第20条の定期検査とは別の制度・実務で使われることがあります。どの「11項目」を指しているかは対象施設や根拠法令によって異なるため、水道水そのものの水質基準について調べる場合は、この「11項目」という呼び方と水道法上の定期検査を同一視しないことが大切です。

よくある質問

水質基準を簡単に言うとどういうことですか?

水道水が「生涯にわたり毎日飲んでも健康に影響が出ない」レベルであることや、味・におい・見た目に異常がないことを確認するために、国が法律(水道法・水質基準に関する省令)で定めた、水質のチェックリストのようなものです。現在52項目が法的に義務付けられています。

水質基準は水道水以外(排水・環境基準)にも同じものが使われますか?

いいえ、異なります。この記事で解説した水質基準は水道法に基づく「飲料水」向けの基準です。工場や事業場からの排水を規制する「排水基準」や、河川・湖沼の水質を守るための「環境基準」は、それぞれ別の法律・省令で定められた別の基準です。

ORP(酸化還元電位)は水質基準の項目に含まれますか?

含まれていません。ORPは水中の酸化力・還元力の度合いを示す指標で、水処理の現場などで参考値として使われることはありますが、水質基準に関する省令が定める52項目には含まれていません。

日本の水質基準は世界的に見て厳しいのですか?

国ごとに検査項目や基準値の設定方法が異なるため、単純に「日本が世界一厳しい」と断定できる公的な比較データは確認できていません。確実に言えるのは、日本の水道事業者等には、52項目の水質基準に適合した水道水を供給する義務が法律で課されているという点です。

まとめ:水質基準は52項目、大腸菌は「検出されないこと」が基準

この記事では、水道水の水質基準の法的根拠、項目の分類、そして「51項目」から「52項目」に変わった経緯を解説しました。

法的拘束力のある「水質基準項目(52項目)」を中心に、これを補完する「水質管理目標設定項目(26項目)」「要検討項目(46項目)」があります。2026年4月にPFOS・PFOAが追加されたことで51項目から52項目になり、大腸菌の「検出されないこと」という基準がその厳しさを象徴しています。混同されやすい「11項目」という表現と水道法上の定期検査の違いも押さえておくと、水質基準についての理解がより深まるでしょう。

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