井戸水ポンプを選ぼうとしたら「浅井戸用」「深井戸用」の違いが分からず戸惑ったり、急にポンプから水が出なくなって困ったりしていませんか?
この記事では、井戸水ポンプの種類と選び方、交換費用の考え方、水が出なくなったときの対処法を、メーカーの公開情報をもとに整理します。
井戸水の基礎知識については「井戸水とは?仕組み・水道水との違いと安全に使うための基礎知識」もあわせてご覧ください。
井戸水ポンプの種類と選び方
浅井戸ポンプと深井戸ポンプの違い
井戸水ポンプは、大きく「浅井戸ポンプ」と「深井戸ポンプ」の2種類に分かれ、ポンプから井戸の水面までの高さ(吸上高さ)によって選べるポンプが変わります。
水を汲み上げる仕組みそのものが、水面までの距離によって異なるためです。
| 種類 | 対応する吸上高さ(ポンプから水面まで) | 仕組み |
|---|---|---|
| 浅井戸ポンプ | 8m以内(機種によっては7m以内) | 大気圧を利用して給水管を真空状態にし、地下水を地上まで汲み上げるシンプルな仕組み |
| 深井戸ポンプ | 8mを超える場合 | 大気圧だけでは汲み上げられないため、ジェットポンプや水中ポンプで水を押し上げる仕組み |
大気圧を利用した汲み上げ方式には物理的な限界があり、理論上でも約10mまでしか水を吸い上げられません。実際には配管の抵抗などによる損失もあるため、地上に置く浅井戸ポンプの吸上高さは8m以内(機種によっては7m以内)とされています。そのため水面がそれより深い井戸では、地上のポンプから高速の水を送り込んで井戸水を押し上げる「ジェットポンプ」や、ポンプ自体を井戸の中に沈めてしまう「水中ポンプ」が使われます。

なお、ここでいう「浅井戸用・深井戸用」はポンプ選びの区分で、井戸そのものを分類する「浅井戸・深井戸」(一般に深さ30m未満を浅井戸と呼ぶ)とは基準が異なります。判断の目安になるのは井戸の深さではなく、ポンプから水面までの高さです。メーカーの選定方法では、この高さに吸込管の長さの1割程度を配管の損失として加え、さらに運転中や渇水期の水位低下も見込んで判断するとされています(参考:日立の家電品「ポンプの選定について」)。ご自宅の井戸の水位が分からない場合は、掘削時の工事記録を確認するか、井戸工事業者に相談して調べてもらいましょう。
交換・修理費用の目安
井戸水ポンプの交換費用は、浅井戸用か深井戸用か、そして本体のみの交換か配管工事も伴うかによって大きく変わります。
深井戸用はジェットポンプや水中ポンプなど構造が複雑になる分、部品代・工事費とも高くなる傾向があるためです。
金額は井戸の深さ・配管の距離・電気工事の有無・立地条件や地域・依頼する業者によって大きく変動するため、この記事では相場の金額を書いていません。複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。ポンプの寿命は使用環境によって5〜8年程度で交換が必要になる場合もあれば、20年以上使い続けられるケースもあるとされ、幅があります。
井戸水ポンプから水が出ないときの対処法
まず確認したい4つの原因
井戸水ポンプから急に水が出なくなったときは、まず次の4つの原因を順番に確認してみてください。
浅井戸ポンプは大気圧を利用した仕組みのため、ポンプ内部の水(呼び水)や空気の状態に影響を受けやすいという特性があるためです。
- 呼び水の不足:ポンプ起動前に呼び水(ポンプ内部を満たす水)が不足していると、うまく汲み上げられません。
- 地下水位の低下:渇水などで地下水位がポンプの吸い込み可能な範囲を下回ると、ポンプが空気だけを吸い込んでしまいます。
- 配管・パッキンからの空気漏れ:接続部のパッキンやシールテープが劣化すると隙間から空気が入り、真空状態を保てなくなります。
- ストレーナー(砂こし器)の目詰まり:給水管内のメッシュに砂や異物が詰まると、水の勢いが弱くなったり出なくなったりします。

呼び水の入れ方
原因が呼び水不足だと考えられる場合は、次の手順で呼び水を補充してみましょう。
ポンプの構造上、電源を入れたまま作業すると感電や故障のリスクがあるため、必ず電源を切ってから行う必要があるためです。
- ポンプの電源をオフにする:安全のため必ず電源を切ってから作業します。
- カバーとホッパーキャップを外す:呼び水を注ぐ部分を露出させます。
- 水があふれるまで呼び水を注ぐ:内部の空気をしっかり追い出します。
- ホッパーキャップとカバーを戻し、電源を入れる:正常に汲み上げが再開するか確認します。
自分で直せない場合は業者へ
呼び水を補充しても改善しない場合や、空気漏れ・ストレーナーの詰まりが疑われる場合は、無理に分解せず専門業者に相談することをおすすめします。
ポンプ内部の分解には専門知識が必要で、誤った作業はかえって故障を悪化させたり、思わぬ事故につながったりする可能性があるためです。
特に、地下水位の低下が疑われる場合(周辺で渇水が続いている、以前より水位が下がっているなど)は、ポンプ自体の問題ではなく井戸そのものの見直し(掘り直しや深井戸化)が必要になるケースもあるため、早めに井戸工事の専門業者に相談しましょう。
よくある質問
井戸水ポンプの寿命はどれくらいですか?
使用環境や使用頻度によって幅があり、5〜8年程度で交換が必要になる場合もあれば、20年以上使い続けられるケースもあるとされています。異音や水圧の低下など不調のサインが見られたら、早めに点検を依頼すると安心です。
停電時は井戸水ポンプを使えますか?
一般的な電動の浅井戸ポンプ・深井戸ポンプは、停電時には動作しません。災害時の水源として井戸水をあてにする場合は、手押しポンプや自噴井戸など、電力に頼らない取水方法もあわせて検討しておくと安心です。
井戸水ポンプはDIYで交換できますか?
配管の接続や電気配線の作業を伴うため、知識がないまま行うと水漏れや感電などのリスクがあります。特に、コンセントに差し込むタイプではなく屋内配線に直接つなぐ固定配線やアース工事は、電気工事士法で有資格者が行うこととされている工事に当たるため、自分では行わず業者に依頼してください。特に深井戸用のジェットポンプ・水中ポンプは構造が複雑なため、専門業者に依頼するのが安全です。
まとめ:まずは水面までの高さと呼び水の状態を確認しよう
この記事では、井戸水ポンプの種類と選び方、交換費用の目安、水が出ないときの対処法を解説しました。
ポンプ選びは、まずポンプから井戸の水面までの高さ(吸上高さ)が8m以内かどうかを確認することが出発点になります。水が出なくなったときは、呼び水・地下水位・空気漏れ・目詰まりの4点を順番にチェックし、自分で解決できない場合は無理をせず専門業者に相談しましょう。

