「アルカリイオン水」という言葉を見聞きするけれど、そもそも何なのか、体にどんな効果があるのか気になっていませんか?
この記事では、アルカリイオン水の定義や仕組み、公式に認められている効果の範囲、飲み方の目安や注意点、水素水との違いまで、アルカリイオン整水器協議会の公式情報をもとにまとめて解説します。
この記事のポイント
アルカリイオン水とは何か
「アルカリイオン水」は2種類ある?整水器由来と天然水由来の違い
「アルカリイオン水」という名称は、実は由来が異なる2種類の水を指して使われています。
ひとつは家庭用の整水器で作られる水、もうひとつは自然にアルカリ性になった水をボトリングした市販品で、製法も法律上の扱いも異なるためです。
| 種類 | 由来 | pHの目安 | 法律上の扱い | 代表例 |
|---|---|---|---|---|
| 整水器由来 | 家庭用のアルカリイオン整水器で水道水を電気分解して生成 | 飲用はpH9〜10程度(初めは低めから) | 整水器が医療機器(家庭用電解水生成器)として認証され、「胃腸症状改善」の使用目的が認められている | 各メーカーのアルカリイオン整水器・還元水素水整水器 |
| 天然水由来 | 地層を通る過程で自然にアルカリ性になった温泉水・鉱水をボトリング | 商品による(温泉水99はpH9.9) | 清涼飲料水(ミネラルウォーター類)として販売。医療効果は認められていない | 温泉水99(鹿児島県)など |

アルカリイオン整水器協議会のFAQでは、「ペットボトルで、類似の名称で販売されているものもありますが、医療効果の認められるアルカリイオン水とは、認証(承認)を得た家庭用医療機器(アルカリイオン整水器)から生成された水のみです」と案内されています。市販のペットボトル入りの商品は天然由来のものが中心で、電気分解で作られる水は生成後すぐに飲むことが想定されているため、ペットボトルで流通する製品としてはあまり見かけません。「アルカリイオン水」と一口に言っても、どちらを指しているかによって位置づけが大きく変わる点を押さえておきましょう。天然水そのものの定義や分類については「天然水とは?ミネラルウォーター・水道水との違いと選び方の基礎知識」で解説しています。
整水器の仕組み:電気分解でアルカリ性の水を作る
家庭用のアルカリイオン整水器は、浄水した水道水を直流で電気分解し、陰極側からアルカリイオン水を生成します。
水を電気分解すると、陰極側には水酸化物イオン(OH⁻)や陽イオン、溶存水素が集まり、陽極側には水素イオン(H⁺)や陰イオン、溶存酸素が集まるという性質があるためです。
この結果、陰極側からは弱アルカリ性の水が、陽極側からは弱酸性の水(酸性イオン水)が得られます。整水器は浄水器とは異なる仕組みの機器で、フィルターで不純物を除去する浄水器とは別に、電気分解でpHを変化させる工程が加わっている点が大きな特徴です。浄水器のろ過の仕組みについては「浄水器の仕組みとは?ろ過の原理から原水・浄水の切り替え、整水器との違いまで解説」でまとめています。
アルカリイオン水の効果・飲み方・注意点
公式に認められている効果は「胃腸症状の改善」
アルカリイオン水について検索すると、糖尿病や高血圧、痛風など、さまざまな効果をうたう情報を目にすることがありますが、公式に認められている効果は「胃腸症状の改善」です。
アルカリイオン整水器協議会によると、厚生労働省告示第112号(平成17年)において、家庭用医療機器であるアルカリイオン整水器の使用目的は「胃腸症状改善のための飲用アルカリ性電解水の生成」と定められているためです。この効果は、1993年に厚生省(当時)の要請で組織された第三者委員会が5年にわたって再検証を行い、二重盲検試験を含む比較臨床試験で「軽度の胃腸症状の改善に有効」との結論が1999年に報告されたことに基づいています。協議会のFAQでは、対象となる胃腸症状として、慢性下痢・胃酸過多・制酸・消化不良・胃腸内異常醗酵・便秘が挙げられています。
一方で、協議会の公式ページには、アトピー性皮膚炎や糖尿病などの疾患の治療を目的とした使用について「その効果についてはこれまで臨床科学的に証明されておらず、国からも認められておりません」と明記されています。つまり、胃腸症状の改善以外の効能をうたう情報は、公的に認められたものではないという前提で受け取る必要があります。持病がある方は、アルカリイオン水を治療の代わりにせず、医師の指示に従った治療を続けてください。
飲み方の目安は?1日の量とpHの上げ方
協議会(業界団体)のFAQでは、1日に0.5〜1L程度の飲用が目安として示されていますが、実際の飲用量は製品の取扱説明書と医師の指示に従ってください。
ただし、初めからpHの高い水をたくさん飲むのではなく、体を慣らしながら段階的に進めるよう案内されています。協議会が紹介している飲み方の留意点を整理すると、次のとおりです。
- 初めて飲むときは、整水器のpHを低め(pH8〜8.5程度)に設定し、コップ1杯から少しずつ飲む
- 2週間ほど飲み慣れたら、体質や体調に合わせて少しずつpHや量を増やし、pH9.5程度を目安にする
- 電気分解で生じた水素は抜けやすいため、できるだけ出来たての水を飲む
- 1日1Lを超えて飲む場合は、体調に合わせて調整する

子どもや高齢者も同様に、低めのpHから徐々に上げていくことが案内されています。特に高齢者は胃酸の分泌が少なくなる傾向があるため、pHを低めに設定して飲むよう案内されています。
飲用してはいけない人・注意が必要な人
アルカリイオン水は誰でも自由に飲んでよいわけではなく、体調や持病によっては注意が必要です。
協議会は、アルカリイオン水の使用上の注意として、次のような人への注意事項を案内しているためです。
妊産婦の飲用について、運営者は評価しません。協議会のFAQでも気になる症状がある場合はかかりつけの医師に相談するよう案内されており、妊娠中・授乳中の飲用はまず医師に相談してください。持病がある方や体調に不安がある方は、自己判断せず、かかりつけの医師に相談したうえで利用を検討してください。
整水器を選ぶときに確認したいこと
アルカリイオン整水器を検討するときは、まず製品本体やカタログに「医療機器認証番号(または承認番号)」が記載されているかを確認しましょう。
協議会のFAQによると、認証番号が明記されている機種であれば家庭用医療機器(JIS T2004)として認証されたものであり、生成されるアルカリイオン水の効果はすべて同じとされているためです。
一方、スティック状の製品を水に入れるだけで「還元水」や「水素水」ができるとうたう商品について、協議会は「水の生成方法が異なりますので、効果も異なります」と説明しています。価格や機能の違いを比べる前に、胃腸症状の改善を目的とするなら医療機器として認証された整水器かどうかを確認することが出発点になります。
水素水との違いは?
アルカリイオン水と混同されやすいものに「水素水」がありますが、両者は作り方も法的な位置づけも異なります。
整水器の陰極側の水にも水素が含まれるため混同されやすいのですが、「水素水」は水素分子を含むものとして販売される飲料などの呼び方で、作り方は製品によってさまざまです。飲料として販売されるものは食品として扱われます。一方、アルカリイオン水を作る家庭用のアルカリイオン整水器は、胃腸症状の改善を使用目的とした医療機器です。詳しい違いは「アルカリイオン水と水素水の違いは?仕組み・効果・法的な位置づけを比較」で解説しています。
よくある質問
アルカリイオン水はどこで買えますか?
スーパーやドラッグストア、コンビニ等で、天然由来のアルカリ性の水(温泉水99など)が販売されています。以前はキリンの「アルカリイオンの水」も広く流通していましたが、この商品は2024年9月に出荷が終了しています。なお前述のとおり、医療効果が認められているのは整水器で作られた水のみで、ペットボトルの商品は清涼飲料水として販売されているものです。銘柄は入れ替わりがあるため、店頭やオンラインストアで現在販売中の商品を確認してください。
アルカリイオン水を加熱するとどうなりますか?
協議会のFAQによると、水酸化物イオンは加熱によって変化しないため、加熱・沸騰させてもpHは変わりません(加熱状態ではpH試薬が正しく反応しないため、確認するときは35℃以下に冷ましてから測るよう案内されています)。一方、電気分解で生じた水素(ガス)は揮発しやすいため、飲用するときはできるだけ出来たての水をそのまま飲むことが勧められています。協議会は、炊飯や煮物などの料理にも使えると案内しています。
整水器から出る「酸性イオン水」は何に使えますか?
協議会のFAQでは、陽極側から得られる酸性イオン水の用途は洗顔や洗浄とされています。肌の弱い人やアレルギー体質の人は使用前に医師に相談すること、使用して肌に異常を感じたら速やかに使用を中止して医師に相談することが注意事項として挙げられています。また、殺菌消毒に用いられる「酸性電解水」とは別のものである点にも注意が必要です。
ペットにアルカリイオン水を与えても大丈夫ですか?
アルカリイオン整水器に認められた使用目的は人の胃腸症状の改善であり、犬や猫の病気の治療・予防は含まれていません。ペットの体質や持病によって適切な水は異なるため、与える場合はかかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
まとめ:胃腸症状の改善以外は「まだ証明されていない」と理解しておく
この記事では、アルカリイオン水の定義や仕組み、公式に認められている効果、飲み方の目安と注意点、水素水との違いを解説しました。
アルカリイオン水には整水器由来と天然水由来の2種類があり、医療効果として認められているのは、医療機器として認証された整水器で作る水による「胃腸症状の改善」です。糖尿病や高血圧など、それ以外の効能をうたう情報を目にしても、国から認められた効果ではない点を踏まえておきましょう。飲むときは低めのpHから少しずつ始め、腎疾患がある方は飲用を避け、持病のある方や体調に不安がある方は医師に相談してから利用するようにしてください。

