炭酸水とは、水に二酸化炭素(炭酸ガス)を溶かした清涼飲料水です。製造時に炭酸ガスを加えたものが一般的ですが、地下でもともと炭酸ガスを含んでいる天然の水もあります。
この記事では、炭酸水の定義や種類、なぜ酸っぱく感じるのか、保存方法や賞味期限、家での作り方、英語での呼び方までを、業界団体やメーカー、国の公開情報を2026年10月時点で調べて分かったことをもとに整理しました。
この記事のポイント
炭酸水とは?水に炭酸ガスが溶けた清涼飲料水
無糖の炭酸水は「水に二酸化炭素を圧入したもの」にあたる
炭酸水は、水に二酸化炭素(炭酸ガス)を溶かした飲み物で、食品衛生法ではジュースやお茶と同じ「清涼飲料水」の一種です。製造時に炭酸ガスを加えた無糖の炭酸水は、炭酸飲料の定義では「水に二酸化炭素を圧入したもの」にあたります。
全国清涼飲料連合会(全清飲)は、炭酸飲料の日本農林規格(JAS)の定義に合う商品に「炭酸飲料」と表示するよう推奨しており、その定義が次の2つに分かれているためです。
- 水に二酸化炭素を圧入したもの:無糖の炭酸水はこちら
- 1に糖類・果汁・甘味料・香料などを加えたもの:サイダーやフレーバー付きの炭酸水、トニックウォーターなど
この定義は、以前は国の食品表示基準にも書かれていましたが、全清飲によると2025年3月の改正で削除され、品名を「炭酸飲料」と表示することも義務ではなくなりました。ただし全清飲は、破裂や噴きこぼれへの注意を伝える意味もあることから、定義に当たる商品には引き続き「炭酸飲料」と表示することを推奨しています。
炭酸水は何性?酸っぱく感じる理由と化学式
炭酸水は、弱い酸性の水です。
水に溶けた二酸化炭素のごく一部が「炭酸」になり、さらにその一部から水素イオンが生じるためです。気象庁の海洋酸性化の解説では、海水に溶けた二酸化炭素が炭酸になり、水素イオンが増えることでpHが下がる仕組みが説明されています。炭酸水でも同じ反応が起きていると考えられ、化学式で書くと次のようになります。
CO2(二酸化炭素) + H2O(水) ⇄ H2CO3(炭酸) ⇄ H+(水素イオン) + HCO3–(炭酸水素イオン)
なお、炭酸水の具体的なpHの数値をメーカーが公表している例は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。ネット上で見かける数値は個人の測定などによるもので、製品や温度、開けてからの時間によっても変わると考えられるため、この記事では「弱い酸性」までにとどめています。
炭酸の強さを表す「ガスボリューム」
「強炭酸」などと書かれた商品の炭酸の強さは、「ガスボリューム(GV)」という単位で表されることがあります。
強炭酸水を販売するKUOSの解説では、「1リットルの液体に1リットルの炭酸ガスが溶けている状態を『1GV』」とし、数値が大きいほど多くの炭酸ガスが溶けていることになります。ただし、大手メーカーの商品ページではGVの数値はあまり公表されていないため、商品同士を数値で比べるのは難しいのが実情です。
炭酸水の種類と違い、英語での呼び方
天然の炭酸を含む水と、後から炭酸ガスを加えた水
炭酸水には、地下でもともと炭酸ガスが溶け込んでいる「天然の炭酸を含む水」と、水に後から炭酸ガスを加えたものがあり、日本の表示ルールでは扱いが分かれています。
農林水産省のミネラルウォーター類の品質表示ガイドラインでは、ナチュラルミネラルウォーターに「天然の二酸化炭素が溶解し、発泡性を有する地下水」を原水としたものも含まれるとしています。その一方で、水に炭酸ガスを圧入した炭酸飲料は、このガイドラインの対象から外されているためです。発泡性のナチュラルミネラルウォーターには、二酸化炭素を含む旨を表示することになっています。
日本での扱いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | 天然の炭酸を含む水 | 水に炭酸ガスを圧入した炭酸水 |
|---|---|---|
| 炭酸ガスの由来 | 地下でもともと溶け込んでいたもの | 製造時に加えたもの |
| 日本での扱い | ほかの条件も満たせばナチュラルミネラルウォーターになり得る(品質表示ガイドラインの対象) | 清涼飲料水のうちの炭酸飲料(ガイドラインの対象外) |
| ラベルで見るところ | 品名と、二酸化炭素を含む旨の表示 | 品名と原材料(水・炭酸ガスなど) |

輸入品が多いヨーロッパでは、さらに細かく分けられています。EUの指令では、発泡性のナチュラルミネラルウォーターを次の3つに呼び分けています。
| EUでの呼び方 | 炭酸ガスの由来 |
|---|---|
| naturally carbonated natural mineral water | 泉源の炭酸ガスだけで、泉源と同じ量 |
| natural mineral water fortified with gas from the spring | 同じ泉源・地層の炭酸ガスで、泉源より多くしたもの |
| carbonated natural mineral water | 泉源とは別の由来の炭酸ガスを加えたもの |
「炭酸入りのミネラルウォーター」と書かれていても、炭酸ガスがすべて天然とは限らないことが分かります。
ペリエ・サンペレグリノ・ウィルキンソンの説明を見比べる
よく知られている銘柄でも、炭酸ガスについての公式の説明はそれぞれ違います。
メーカーや輸入元の公式サイトでは、次のように説明されていました。
「天然炭酸」かどうかが気になる場合は、販売サイトの紹介文ではなく、ラベルの品名や原材料、メーカー公式の説明を確認するのが確実です。
無糖の炭酸水・フレーバー付き・トニックウォーターの違い
同じ炭酸飲料の売り場に並んでいても、無糖の炭酸水と、トニックウォーターなどの甘味や香りのついたものは別物です。
無糖の炭酸水は水と炭酸ガスだけでできていますが、トニックウォーターなどは糖類や香料が加えられているためです。たとえばウィルキンソン トニックは100mLあたり38kcalで、糖類が入っています。苦味は「ニガキ」という樹木の皮と柑橘系の果実から抽出した苦味成分を香料として使っていると説明されています。
| 種類 | 主な原材料 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 無糖の炭酸水 | 水・炭酸ガス | 原材料が水と炭酸ガスだけか |
| フレーバー付きの炭酸水 | 水・炭酸ガス・香料など | 甘味料の有無(無糖でも香料入りのものがある) |
| トニックウォーター | 水・炭酸ガス・糖類・苦味のもとになる香料など | カロリー・糖類 |
| 天然の炭酸を含むミネラルウォーター | 水(鉱水) | 品名・二酸化炭素を含む旨の表示 |
炭酸水は英語で何という?sparkling water・soda water・club sodaの違い
炭酸水を英語で言うときは、「sparkling water」「carbonated water」「soda water」などが使われます。
Oxford Learner’s DictionariesやCambridge Dictionaryで確認すると、それぞれ次のような意味で使い分けられていました。
| 英語 | 意味・ニュアンス |
|---|---|
| sparkling water | 泡(ガス)を含む水。飲み物について広く使う |
| carbonated water | 二酸化炭素の小さな泡を含む水 |
| soda water | そのまま飲んだり、お酒やジュースを割ったりする炭酸水。北米で「soda」だけだと甘い炭酸飲料の意味にもなる |
| club soda | アメリカでのsoda waterの呼び方 |
| seltzer | アメリカで使われる炭酸水の呼び方。語源はドイツの鉱泉地の名前 |
| tonic water | 少し苦味のある炭酸飲料。ジンなどを割るのに使われる |
| still water | 炭酸の入っていない水 |
海外のレストランなどで水を頼むと「sparkling or still?」と聞かれることがありますが、これは「炭酸入りか、炭酸なしか」という意味です。
炭酸水の保存方法と賞味期限
炭酸ガスは冷たいほど水に溶けやすい
炭酸水の炭酸を保つには、温度を低く保つことが基本です。
全清飲の製造方法の解説によると、「温度が低いほど炭酸ガスが液体に吸収されやすくなる」ため、工場では一般的に液体を10℃以下に冷やしてから炭酸ガスを圧入しているそうです。逆に言えば、温度が上がると炭酸ガスは抜けやすくなります。ただし、冷蔵庫に入れておけば炭酸が抜けないわけではなく、一度開けたものは少しずつ抜けていきます。日本コカ・コーラも、直射日光の当たる場所や車内など高温の場所に置くと炭酸ガスが抜けやすくなると案内しています。
炭酸水の注意点:噴き出し・凍結・加熱
炭酸水は中に圧力がかかっている飲み物なので、扱い方によっては噴き出したり、容器が破損したりすることがあります。
メーカーや業界団体は、次のような注意点を案内しています。

開けた炭酸水はいつまでに飲む?賞味期限切れは?
開けた炭酸水は、賞味期限の日付に関係なく、早めに飲みきるのが基本です。
賞味期限は、開けずに表示どおりの方法で保存した場合の「おいしく食べられる期限」で、一度開けたものは期限に関係なく早めに食べるよう、農林水産省が案内しているためです。メーカーの目安は次のとおりです。
開けていない炭酸水の賞味期限が過ぎた場合については、全清飲やキリンなどが、「過ぎてもすぐに飲めなくなるわけではないが、風味が落ちることがある」と回答しています。期限内に飲みきれるよう、買い置きの量を調整しておくと安心です。
炭酸水の作り方と料理での使い方
炭酸水の作り方は炭酸水メーカーと重曹+クエン酸の2つ
炭酸水を家で作る方法は、主に「炭酸水メーカーを使う方法」と「重曹とクエン酸を使う方法」の2つです。
炭酸水メーカーは、専用のボトルに入れた水に、ガスシリンダーの炭酸ガスを注入して炭酸水を作る家電です。ソーダストリームの取扱説明書では、冷たい水のほうが炭酸ガスが溶けやすく、より強い炭酸水が作れること、シロップは炭酸水を作ったあとに加えることが案内されています。方式やガス交換の費用などの比較は「炭酸水メーカーの選び方|ソーダストリームとドリンクメイトを公式情報で比較」でまとめています。
一方、重曹とクエン酸を水に溶かすと、化学反応で二酸化炭素が発生します。ただし、製菓材料メーカーの共立食品は、重曹を使った炭酸水は「ほのかな発泡水といった感じで市販されているような炭酸水にはなりません」と説明しています。口に入れるものなので、試す場合は食品として売られている重曹・クエン酸を使い、パッケージの表示に従ってください。
どちらの方法も、炭酸ガスで容器の中の圧力が上がります。重曹とクエン酸をペットボトルなどふたを閉めた容器の中で反応させると、発生した炭酸ガスの逃げ場がなく、容器が破裂するおそれがあります。試す場合はコップなどふたをしない容器で少量ずつ混ぜ、炭酸水メーカーは専用のボトルを説明書どおりに使ってください。
料理に炭酸水を使うレシピもある
炭酸水は、飲むだけでなく料理に使われることもあります。
たとえば味の素の公式レシピサイトには、揚げ物の衣を炭酸水で溶くレシピや、豚肉を炭酸水で煮込むレシピが掲載されています。ただし、ネットでよく見かける「天ぷらがサクサクになる」「肉がやわらかくなる」といった効果については、メーカー公式の説明は見つけられなかったため、この記事では「そうしたレシピがある」という紹介にとどめます。
炭酸水についてよくある質問
炭酸水と天然水の違いは何ですか?
一般的な無糖の炭酸水は「水に二酸化炭素を圧入したもの」で、「天然水」と呼ばれるナチュラルミネラルウォーターは、特定の水源の地下水を沈殿・ろ過・加熱殺菌などだけで詰めた水です。天然の炭酸を含む地下水も、ナチュラルミネラルウォーターの原水にできるとされています。天然水については「天然水とは?ミネラルウォーター・水道水との違い」で解説しています。
炭酸水の健康効果について書かれていないのはなぜですか?
当サイトは医療の専門家ではないため、健康やダイエット、体への影響については扱っていません。体調に関することは、医師などの専門家に相談してください。
炭酸水は水筒に入れられますか?
炭酸飲料に対応した水筒でなければ、入れないでください。サーモスは、炭酸飲料に対応したボトル以外に入れると、本体内部の圧力が上がってフタが開かなくなったり、飛び出したり、飲みものが噴き出したりして、けがの原因になると案内しています。手持ちの水筒が炭酸飲料に対応しているかは、取扱説明書やメーカーの案内で確認してください。
炭酸水のペットボトルの底がでこぼこしているのはなぜですか?
炭酸飲料用のペットボトルは、炭酸ガスの圧力を均等に受けられるように作られています。全清飲によると、底が平らだと圧力で膨らんで真ん中が出っ張ってしまうため、圧力に強い花びらのような形の底になっていることがあるそうです。
まとめ:炭酸水は「どこから来た炭酸か」と保存のしかたを知って選ぶ
この記事では、炭酸水の定義や種類、保存方法や作り方を、公開されている一次情報をもとに整理しました。
炭酸水は水に炭酸ガスが溶けた清涼飲料水で、天然の炭酸を含む水と、後から炭酸ガスを加えた水があります。炭酸ガスは冷たいほど溶けやすく、凍らせたり容器のまま温めたりするのは危険です。開けたあとは早めに飲みきり、選ぶときはラベルの品名や原材料を確認してみてください。ほかの水との違いは「水の種類と違いを一覧で整理」でまとめています。

